賢い保険の選び方は?
皆さんは生涯に保険料をいくら支払うか計算したことはありますか?
ほとんどの方はNOとお答えになるでしょう。実はこれがすごい金額なのです。そもそも私たちは20歳くらいから60歳くらいまで実に40年近くも保険料を支払います。
例えば月々の保険料を1万円とすると、40年間で480万円も支払うことになります。2万円だと960万円。3万円だと1440万円。5万円だと2400万円にものぼり、それこそ家が建ってしまいます。保険料というのは人生においては「住宅についで高い買い物」だと言われているのです。
高額な保険料を支払うことが問題なのではありません。支払うにも関わらず、その内容を把握していないということがもっとも大きな問題点なのです。
保険の基本
ここで保険の基本について押さえておきましょう。
保険には3つの基本形があるといわれています。定期保険、養老保険、終身保険の3種類です。この3つの基本形を組み合わせて、保険商品が出来上がっています。ですからこの基本形を理解すると、保険商品のことが極めて理解しやすくなります。
定期保険
まず定期保険ですが、これはある一定の期間だけを保障してくれる保険です。掛け金(保険料)は養老保険・終身保険と比べて安く、そのかわり掛け捨てとなっています。安くて保障だけを確保したいという方に有効な保険です。
定期保険は満期が来ると保障は終わってしまいます。その場合は保険を更新して、保障を継続することが可能です。ただし、保険料は年齢に応じて高くなっていきます。10年更新の保険で10年ごとに保険料が上がっていくというのはこのタイプの保険です。
養老保険
養老保険も定期保険と同じようにある一定の期間だけ保障してくれる保険です。保険料は定期保険・終身保険と比べて高いですが、その分お金が貯まっています。満期が来ると死亡保障額と同額の満期保険金が返ってくる貯蓄タイプの保険です。
終身保険
終身保険は一生涯保障が続くことが一番の特徴です。保険料は定期保険よりも高く、養老保険よりも安く、丁度中間に位置します。そして養老保険と同様にお金が貯まっています。
この3つの保険はどれがいい悪いということはありません。世の中に悪い保険などは存在しないのです。ただし、好き嫌いとか、自分に合う合わないは間違いなくあります。例えば、ある人は掛け捨ては嫌だと考えているのに、定期保険に加入していれば、それは問題です。逆に保険は掛け捨てでもいいからとにかく安くて保障がありさえすればいいと考えているのに、養老保険に加入しているとすれば、自分の考え方と違う保険に加入しているということになり、それはあまり賢い加入方法ではありません。要は自分の考えにあった保険に加入すること、それが一番賢い加入方法と言えます。
生命保険の3つの基本型
医療保険は必要?
あなたの手許に数億円の資産があるのであれば、医療保険は不要です。なぜならば、仮に入院をして、予期せぬ大きな支出があったとしても手元資金で十分にまかなえるからです。
医療保険が必要なのは、予期せぬ入院により家計が圧迫し、生活が窮する可能性がある場合です。特に老後の入院保障は、多くの方々が必要となります。
セカンドライフの資金計画をきちんと立てていたとしても、入院保障をきちんと確保しておかなければどんな事態が起こるのでしょう。例えば、70歳で大病をして、入院費がかさみ、退院後も治療費がかかり生活を圧迫してしまう、そんな事態も考えられます。図は85歳までの資金計画を立てていた方が、医療費がかさみ78歳で破綻してしまうというケースを図式化したものです。
老後に大病すると、資金計画が大いに狂う
このようなケースを未然に防ぐ方法として考えられるのが、医療保険です。ですから、入院の保障も若い間も必要ですが、それ以上に老後の入院保障が実は大切なのです。したがって、これからの医療保険は「終身保障」がおすすめです。終身の医療保険はできる限り早めに確保しておきたい保障のひとつです。
日額は1日5000円から1万円がひとつの目安になります。将来性を考えると、やはり1日1万円の入院保障を確保しておくことをお勧めします。
入院保険と同様に確保しておきたいのが、ガンに対する保障です。ガンは他の病気と比較して、圧倒的に費用も治療期間もかかる病気です。ガン保険は必ず確保しておいて欲しいですね。
そしてもうひとつ注目したいのが、「介護」に対する保障です。公的介護保険はありますが、今後高齢化が急速に進むことを考慮すると民間の保険会社の介護保障もぜひ一度検討してみてください。ただし、この保障も現役世代だけの保障などでは意味がありません。ほとんどの場合、介護状態に陥るのは60歳以降です。つまり終身保障の介護保険が必要です。さらに注目しておきたいのは、介護期間が年々長くなってきていることです。かつては10年以上介護状態の方は、介護者全員の8%程度でしたが、今は15%近くになってきています。これからはますます長期間の介護状態の方々が増えてくることでしょう。
介護の期間は何年?
出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」〈平成30年度〉